パブリシティー権(right of publicity)
日本にはパブリシティー権についての法律はない。他国においても国の法令としては定められていない。
パブリシティー権は元々米国の判例法上確立されたものであり、ニューヨーク州、カリフォルニア州では制定法になっているものの、日本においても未だ確定的な法律とはいえないので慎重に扱うべき法理である。また、日本において成文法(文書の形で存在する法)ではないとも解釈できるので非常にわかりずらい。日本においては東京地裁判決昭和51年6月29日「マーク・レスター事件」での判例が初のパブリシティー権利判決とされている。つまりこういうケースはパブリシティー権侵害にあたりますよ。という判例があるにすぎない。
パブリシティー(周知・公表・宣伝)とはプライバシー(私生活・私事・個人情報)の反語。
パブリシティー権とは著名人だけに認められる権利である。著名人はその名前、肖像、言動、趣味などあらゆるものが顧客誘引力を秘めている。著名人というだけで、その氏名、肖像が商売につながる。著名人の肖像権は内容が侮辱的、公序良俗違反、名誉毀損に該当しないものなら、ある程度、マスコミ等での露出は我慢するべきとしている。著名人は有名であるからこそ、その価値は高まり収入が増えるからである。
その代りに著名人の名前、肖像などを使用し、商売する権利を当該著名人に与え、勝手に
第三者が商売に使用することを禁止した。これをパブリシティー権又はパブリシティー権利という。
問題点として、「法の下の平等」に抵触しないか、どの程度で著名人といえるのか、著名人の権利行使の仕方、判例としてどの程度信頼できるものかなど、まだまだ未知であり、現時点でこの権利を訴訟の法源とはしない方が賢明かと思う。パブリシティー権だけを根拠に訴訟するにはまだまだ十分とはいえない。つまりパブリシティー権には著名人の肖像権や著作権、名前(商標権)など複数の権利が含まれているのであるが、国内の法廷では、すべてを言う必要がある。結果、パブリシティー権の侵害であった。となる。本来、著名人権利の総称なのであるが、理解されるまでに至っていない。
また、マーク・レスター事件とはそもそも映画の映像を無断でCMに使用したという、現在ではあり得ないような事案であり、当然パブリシティー権を法源としなくとも違法行為で、損害賠償、ギャランティー支払い義務が生じている。当時はまだ、著作権についても確立されておらず、タイアップなどという無償の奉仕で宣伝自体をとらえていた時代の背景がうかがえる。
わかり易い肖像権・パブリシティ権
http://auctions.yahoo.co.jp/phtml/auc/jp/propertyprotection/guide/guide2/1jikan/index.html