マイナス金利特需 家庭用金庫が爆売れ! 年利換算でお得な百貨店「友の会」や「旅行積み立て」が人気沸騰 ローン借り換えは?
- 2016.02.28 Sunday
- 18:16
売り上げが伸びているという金庫。鍵付きの耐火タイプが売れ筋だという=東京都調布市の島忠ホームズ仙川店(写真:産経新聞)
日銀のマイナス金利政策導入の影響が消費者の間にも広がっている。いわゆる「たんす預金」のための金庫や、利回りのよい百貨店の積み立てなどに人気が集まる一方で、住宅ローンの金利も低下し、借り換えを検討する好機となりそうだ。傾向や注意点を調べてみた。(中井なつみ、戸谷真美)
たんす預金
「マイナス金利対策の影響でも注目されてます!」。東京都調布市のホームセンター、島忠ホームズ仙川店では、2月中旬から金庫売り場にこんなポップを掲げている。島忠全体の金庫の売上高は、直近の1カ月で前年同期に比べ1・7倍。15〜21日の1週間には、同2・5倍になった。マイナス金利政策の導入により、「銀行預金の金利も将来、マイナスになってしまうかも」という不安が広がり、「たんす預金」用の金庫を求める人が増えているようだ。
生活雑貨を扱う池袋ロフト(東京都豊島区)でも、普段はほとんど動かない金庫が、20、21日の週末だけで7個も売れたという。
ただ、学識者らで構成する金融法委員会(事務局・日銀)は今年2月、「預金の利息を預金者が支払うことは契約上できない」とする見解を発表した。つまり、金融機関が個人の預金にマイナス金利をつけて、口座から差し引くことはできないということだ。
ファイナンシャルプランナーの新美昌也さんは「たんす預金は盗難などの危険もある。冷静な対応を」と呼びかける。
コツコツ積み立て
しかし、「銀行に預けてもお金が増えない」という傾向は、より顕著になった。三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の大手3行は早くも普通預金金利を年0・02%から年0・001%に引き下げた。
こうした中、注目を集めているのが百貨店「友の会」の積み立てだ。毎月3千円〜5万円を1年間積み立てると、13カ月分の金券が受け取れることが多い。年利換算で8%以上に相当する場合もある。
高島屋では2月1〜21日、全国18店舗での新規入会件数が、前年同期に比べ66・5%増。21日だけで700口超の申し込みがあった。「過去10年で一番の伸び。3万円コースなど高額を積み立てるお客さまが増えた」(同社広報)。三越伊勢丹でも15日以降、全国29店舗で1日当たりの新規申し込みが倍増したという。
旅行代理店の「旅行積み立て」も人気だ。大手旅行代理店、JTBの旅行積み立て「たびたびバンク」は2月以降、インターネットを通じた申し込みが前年同期に比べ3・6倍に。一定額を積み立てて満期にサービス額分を含めた旅行券を受け取れるプランや、積立期間や額を自由に決められるプランなどがあり、年利換算で1・5〜1・75%の利回りが見込める。
ローン借り換え
住宅ローンを組んでいる人は恩恵を受けられそうだ。大手3行は、10年固定の住宅ローン金利を引き下げた。新美さんは「借り換えには事務手数料や登記費用などで数十万円かかる。それでも、残高1千万円以上、残り期間10年以上ある場合は借り換えを検討する価値はある」とする。
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する最長35年、固定金利の住宅ローン「フラット35」の場合、2月の金利(借入率9割以下)は1・48〜2・03%(返済期間21〜35年、金融機関により異なる)。同機構によると、5年前の金利は2・55〜3・5%だった。それぞれ最低金利で比較すると、残高2千万円、返済期間が残り30年の場合、単純計算で返済総額が約380万円、毎月の返済額は約1万円減る。
ただ、これから新規にローンを組む場合は注意が必要だ。新美さんは「金利変動型のローンは、固定型よりもさらに低金利だが、身の丈以上に借りてしまうと、金利が上がったとき、家計が破綻する可能性もある」と指摘している。
http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/160228/lif16022818160012-n1.html