国への制裁金認めず=諌早「開門」確定判決、無効に−漁業者側が逆転敗訴・福岡高裁
- 2018.07.30 Monday
- 15:55
国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、開門を命じた確定判決に従わない国が、制裁金(間接強制金)の支払いを強制しないよう漁業者側に求めた訴訟の控訴審判決が30日、福岡高裁であった。西井和徒裁判長は、制裁金を認めた一審佐賀地裁判決を取り消し、漁業者側の逆転敗訴を言い渡した。
開門を命じた福岡高裁判決は2010年に確定。開門しない国には1日90万円(1人当たり2万円)の制裁金が科され、これまで漁業者側に総額12億円が支払われた。
国側は、判決確定後の13年に長崎地裁が開門差し止めの仮処分決定を出したため、支払いを強制しないよう求め提訴。相反する義務を負ったなどと主張したが、佐賀地裁は14年、国側の訴えを退けた。
控訴審で国側は、「原告の共同漁業権は既に消滅し、開門請求権はない」「漁獲量も増加傾向にあり、制裁金は権利の乱用だ」などと主張した。漁業者側は「漁業権は更新し、消滅していない。漁業被害は続いている」と反論していた。
福岡高裁は今年3月、開門せず、国が創設する漁業振興基金で解決するよう双方に和解勧告した。漁業者側はこれを拒否し、和解協議は5月に打ち切られていた。(2018/07/30-15:55)